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工場長・製造部長のコスト削減マネジメント vol.114 2017.4.5
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日本ビジネス革新コンサルティング株式会社(ジェイビック)2,892部
省エネ・品質改善・物流のコスト削減など、利益創出体質を実現!
工場のコスト削減コンサルティングファームのコラムです。
新年度になりました。訪問先の工場では、工場見学で一生懸命勉強し
ている新入社員を見かけました。懐かしいです。
今号の目次↓
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【ごあいさつ】引継いでパフォーマンスを高める
【メインコンテンツ】技術資源の有効活用2(TRMプログラム)
【お知らせ】自社資源の有効活用セミナー
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【ごあいさつ】引継いでパフォーマンスを高める
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文/高田 真一
4月は異動の季節でもあります。新鮮な気持ちで業務の引継ぎを終え
たばかりの人も多いことでしょう。
一方、交代勤務の現場で行なわれている日々(直間)の引継ぎ(申送り)
は、日常的でありすぎる分、おざなりにはなっていないでしょうか?
D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)では、昼勤組の出来高を床
に大書きすることで、発奮した夜勤組がそれを上回る出来高を記録し、
その継続で飛躍的に生産性が上昇した工場のエピソードが語られていま
す。
ある大手化学メーカーから関連会社に出向となったT社長は、もう少
し現代風のやり方でこの問題と向き合うことになりました。
赴任して早々、社長が気付いたのは、現場巡回の際に見かけた直間の
申送りがあまりにも活気に乏しいことでした。前勤の職長の話は機械音
にかき消され、後勤の勤務者たちはまるで他人事のように無関心です。
一計を案じた社長は、事務所の会議室で申し送りをさせることにしまし
た。様式を統一し、前勤の工程リーダーがプロジェクターで生産実績を
説明します。後勤は全員参加、社長以下部課長まで出席させる徹底ぶり
です。
同じくマンネリになっていた小集団活動も、テーマを「異物混入」に絞
らせ、各直の取り組みをこの申送り事項に反映させることにしました。
結果、2ヶ月も経たない内に、歩留まりが目に見えて向上したそうです。
引継ぐことがパフォーマンス向上のトリガーとなり得る証となりました。
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【メインコンテンツ】技術資源の有効活用2(TRMプログラム)
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文/城田 靖彦
今回から2回に分けて、TRMによる活動の事例紹介をいたします。
1回目は、工業用砥石を開発生産販売している国内工場の事例です。
活動導入の背景ですが、日本国内ユーザーの海外進出に伴い、現地/
海外メーカー製品との競合、及び国内市場におけるコンペチタ―との競
合が激しいものとなっておりました。
そんな中、この企業ではベテラン社員の退職により、知識、技能、技術
の散逸が懸念され、開発、改善、設計といった技術面における対応力の
低下が憂慮されておりました。
従って、自社の保有する技術の整備と共有化を図り、優位技術の強化、
不足技術の補強を行うことによって、ユーザーニーズへの対応力を向上
させて販売に結びつけることが急務となっていました。
そこでこれらの経営課題に対して、3つの目的を掲げ活動をスタート
させました。
1.顧客が要求する砥石の開発、生産を短納期で行い、満足する品質に
仕上げて提供出来るようにする。
2.自社が保有する技術ノウハウを技術者間で共有し、製品開発生産の
効率を向上させる。
3.市場ニーズ対応型の製品開発生産を可能にする能力を備え、市場優
位性をもって販売拡大を図る。
この目的を果たすべく活動を進めていった結果、今後強化すべき重点
テーマが3つに絞られました。
1)製造技術の共有化(伝承継承) ⇒ 製造スキルの向上と不良低減
2)掘り起こし技術の展開(技術戦略) ⇒ 応用技術の商品化
3)技術の共有化システム構築 ⇒ 品質設計技術のレベルアップ
TRMの最初のステップに保有技術の棚卸しと技術の定義というもの
があります。
今回はこれらの重点テーマに沿って、砥石を造るのに必要な技術のロジ
ックツリーを作成し、技術を顕在化したのちにそれぞれのテーマにおい
て、重要な技術を特定し定義していく方法をとりました。
この重点テーマの内、1)の「製造技術の共有化」の結果について少
し触れてみたいと思います。
この工業砥石は一枚200万円程する精密研削加工用砥石で、客先要
求を基に設計製作する特殊品になりますが、製造における問題は焼成後
の割れ不良にありました。
この割れ不良を無くすためにいろいろな工夫がなされていましたが、あ
るベテランの方が制作すると割れないことがわかりました。
それは、ボンドの選定と配合及び砥粒との関係から最適解を導き出して
製作するその人の勘と経験が培った「技能」であり、そのノウハウを技
術に変換して、3つの製造グループの内の1グループの担当者に伝承継
承しました。
すると、不良がグッと減ったのです。そして、それを見聞きしていた他
のグループも伝承継承してほしいとなり、いつの間にか製造グループ間
で品質競争が始まりました。
その結果、活動スタート初めの4月~11月までの不良率の平均が
0.83%だったのが、技術伝承継承後の12月、1月は共に0.02%、ある
製品においては0%を達成していました。
因みに当年度目標は1.81%、前年度実績が1.97%という内容でしたので、
これこそが技術の伝承、継承が生み出した成果だと言えるでしょう。
2)の「掘り起こし技術の展開」による新しい技術の商品化や、3)
の「技術の共有化システム構築」についても、その後のお話しから継続
的に展開され、トップや担当者が変わった今も継続して進められ、成果
を上げているとのことです。
今では国内、海外生産の棲み分けもしっかり行われ、技術を基に開発生
産が営まれているようです。
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【お知らせ】自社資源の有効活用セミナー
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プログラム名:TRM(Technology Resources Management)
自社が保有する技術資源を顕在化し、技術開発の方向付け、安定生産
等の技術伝承継承の方法など、事業における「技術資源の活かし方」を
解説します。
【内容】
1.保有技術の棚卸しと技術定義
2.自社技術の特定と評価
3.技術戦略とロードマップの作成
4.技術の伝承と継承
5.事業間での技術の共有化
6.自社技術の維持管理
【日時】
2017/ 5/ 19(金) 10:00~12:00/14:00~16:00
※いずれの回も2時間、同じ内容のセミナーとなります。
午前か午後をご指定下さい。
担当講師:城田 靖彦
開催場所:東京都千代田区永田町2-14-2 山王グランドビル(弊社)
案内図→ https://jbic.co.jp/company/
費用:1名のご参加につき 10,000円 当日現地支払
お申込方法:セミナータイトルとご希望の時刻をご連絡ください。
本メールへの返信、またはお電話で承ります。
03-3519-7337 荒柴まで(不在時は村松までお願いします)。
申込期限:2017月5月12日(金) 24時まで。
※参加人数により会議室を変更しますので事前申込は必ずお願いします。
※午前・午後ともに最少催行人数は3名様です。満たない場合には
開催を取りやめる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
多くの方のご参加をお待ち申し上げております!
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編集後記
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高田:最近、上の娘とハイキングをしたりレストランで食事をすること
が多く、時として年の離れた夫婦に見られることが一度や二度で
はありません。パパはご満悦、娘は仏頂面です。
城田:埼玉の所沢でイチゴ狩りをしてきました。とても大きく、とても
甘くて美味しいイチゴでした。先着200名で朝早くから並んで、
その甲斐あって美味しく頂けました。
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工場長・製造部長のコスト削減マネジメント
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省エネ・品質改善・物流のコスト削減で利益創出体質を実現!
工場のコスト削減コンサルティングファームのコラム。
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